【音の通訳】 ~気持ちを言葉にできないときに、助けてもらえるといいね~

先日、保育園の3歳の子どもたちと給食を食べていたときのこと。

ひとりの男の子が、突然大声をあげて、目の前にあるトレイを投げ飛ばしました。アトピーがひどくて、痒みが強くて、本当に嫌な気持ちだったのです。ご飯も食べたくないというのを、とりあえず席に座ったところ。大爆発!

それを見ていた女の子が、フリーズしました。いつもは、おしゃべりしながら、一緒にご飯を食べるのに、そこから完全に凍り付いてしまった。無表情になって、何も感じないようにしているくらい、嫌なことだったのでしょう。

今、彼女に何を言っても、まったく聞こえないだろうなぁ~と思いながら、様子を見ていました。担任のせんせいが、その男の子に関わり、少しその場が収まったときに、そっと、声をかけてみました。

「こわかったのかな?」

「おおきなこえだったから、びっくりしたのかな?」

女の子は、私の目を見て、わたしの声を聞いていたけれど、どの言葉にも、すぐには反応しませんでした。そうなのね。どんな気持ちなのか、わからないのね。

「すきなものあるかな?ごはん、たべられるかな?」そう聞いたら…。

「はなむらさん、たべさせて!」と小さな声で言いました。

「いいよ~!」そう言って、子どもの口にあう小さなひとくちを、スプーンでゆっくり食べさせました。そうして、黙って、わたしのスプーンでご飯を食べているうちに、顔色も少し戻って、おしゃべりもできるようになりました。

子どもに対して「音の通訳」をするというのは、こんなことです。子どもの感情を、言葉にしてみること。そして、子どもが自分の感情が、言葉になることを知ること。

その感情に対して、わたしの言葉が的確なのかどうかは、分からないけれど、ひとつの【とっかかり】のようなものにして、感情をひとくくりにすること。そうすると、とりあえず、前に進めるのかもしれないと思います。

3歳は、感情と言葉のつながりが、そんなにたくさんないけれど、実は、おとなだって、同じことが起きているような気がします。

目の前にいるひとをよく観察して、自分が共感できる【なにか】をみつけて、その気持ちを言葉にすること。

すぐにできることではないかもしれないけれど、そのひとことを自分から出すために、なにを観察したらよいのかしら.……と、ずっと考えてきました。

ことしは、「音の通訳」について、さまざまな学びの場を創ろうと考えています。

興味がある方は、2/7の「はなむらさんといっしょ!」にご参加ください。お待ちしています。

日時:2月7日(金) 20:00~21:00 ZOOMにて開催 定員6名 ★無料
スケジュールからもお申込みできます。